簡易神棚やモダン神棚は、置き型か壁掛けかを住まいに合わせて選び、お札が納まる内側の寸法を確かめてから決めると失敗が少なくなります。神社本庁も、宮形の有無などにとらわれすぎて祀らないより、出来る形で祀ることが大切だとしています。
「大きな神棚を置く場所がない」「洋室に木の神棚は合わない」と感じて、神棚そのものをあきらめてしまう方は少なくありません。
私たち「高嶺の榊」は、富士山の麓で神棚に供える榊を育て、お届けしている榊農家です。小さな神棚でも気持ちよく祀れるよう、神社本庁や各地の神社庁、神社の案内をもとに選び方をまとめました。
簡易神棚・モダン神棚とはどんな神棚?
まずは、どんな形の神棚があるのかを整理します。
宮形を使わないモダン神棚とお神札立て
神棚には、昔ながらの三社・一社の宮形のほかに、シンプルなデザインのモダン神棚と、卓上で気軽に祀れるお神札立てがあります。
神社本庁は、神棚の種類としてこの3つを紹介しています。お神札立ては、宮形を使わずにお札を立てて祀る形です。
愛知県神社庁によると、モダン神棚には卓上に置けるものと、壁にかけられるものがあります。洋室中心の住まいに合わせて作られた神棚です。
置き型と壁掛け型の2種類
設置の形で見ると、神棚は置き型と壁掛け型の大きく2種類に分かれます。
群馬県前橋市の産泰神社は、神棚には「置き型」か「壁掛け型」の大きく2種類があると説明しています。
東京都神社庁も、神棚のない家庭では、タンスや本棚の上をきれいにして宮形を置く方法を紹介し、壁掛けにもできる小型の宮形があると案内しています。棚板を付けられない住まいでも選べる形があります。
箱宮は高さを抑えられる
お宮が箱の中に納まった「箱宮」は、背丈が低く、高さに制限がある場所に向いています。
東京の神具店・みす平總卸店は、箱宮を、神殿がお堂の中に納まったデザインで、屋根付きのお宮に比べると略式だが、背丈が低いため高さに制限がある場合には最適だと説明しています。
北海道神社庁も、最近はコンパクトな箱宮が数多く出ていると紹介しています。ほこりが入りにくく、手入れがしやすい点も、神具店では利点として挙げられています。
小さい神棚の宮形にはどんな種類がある?
宮形は扉の数と屋根の形で見分けると、違いが分かりやすくなります。
三社造りは横に3体、一社造りは重ねて納める
扉が3つの三社造りはお札を横に並べ、扉が1つの一社造りは手前から重ねて納めます。
神社本庁は、三社造りでは中央に神宮大麻、向かって右に氏神様、左に崇敬する神社のお札を納め、一社造りでは手前から同じ順に重ねると案内しています。
小さな神棚では一社造りやお神札立てが中心になります。お札の並べ方は、神棚の魂入れの記事[未公開:006]で詳しく紹介しています。
屋根の形は通し屋根・違い屋根・箱宮
宮形の屋根には、通し屋根、違い屋根、箱宮などの形があります。
石川県金沢市の大野湊神社は、通し屋根はすっきりとした印象で手入れが楽、違い屋根は豪華で立派な印象になると説明しています。
同じ神社は、屋根の材質によっても印象が変わり、茅葺きは本格的、板葺きはシンプルな印象を与えるとしています。どれが正しいということはなく、住まいに合う形を選べます。
素材は木のほかガラスやアクリルも
素材は木が基本ですが、ガラスやアクリルを使ったものもあります。
産泰神社は、アクリル板が使われているとスタイリッシュな印象になると紹介しています。神具店の伊勢宮忠も、近年は木材以外でできた神棚があると触れています。
静岡県の神棚メーカーによると、モダン神棚には家具と同じメイプルやウォールナットの材を使ったものもあります。家具の色味に合わせると、部屋になじみやすくなります。
ミニやコンパクトな神棚の大きさはどう選ぶ?
小さい神棚を選ぶときは、見た目より先に寸法を確かめておくと安心です。
まずお札が納まる内側の寸法を確かめる
宮形は、お札が納まる内側のスペース(内陣)がある大きさを選ぶことが先決です。
伊勢宮忠は、まず祀りたいお札が納まる内陣のあるお宮を選ぶことが大切だとし、お宮の高さ・幅・奥行きの3点を確認するようすすめています。
同じ店は、神具やお供え物を置く奥行きも必要になるため、余裕をみるよう添えています。
神宮大麻は縦24.5cmが基本
伊勢神宮のお札である神宮大麻は3種類あり、基本の神宮大麻は縦24.5cm、横6.8cmです。
伊勢神宮によると、神宮中大麻は縦25.0cm×横7.5cm、神宮大大麻は縦30.5cm×横10.5cmです。大きさによって御神徳が異なることはなく、神棚に適した大きさを選べばよいとしています。
小さな宮形やお神札立てを選ぶときは、この寸法が入るかどうかが目安になります。
棚板は宮形の奥行き+10cmが目安
棚を設ける場合は、宮形の奥行きに10cmほど足した奥行きがあると、お供えを置けます。
福島県福島市の福島稲荷神社は、宮形の手前に米などのお供えを置く都合から、棚の奥行きは宮形+10cm程度の余裕をみるとよいとしています。
みす平總卸店によると、三社宮なら棚板は2尺5寸(約75cm)以上が目安で、一般的な棚板は3尺6寸5分(約110cm)です。奥行きが取れない場合は箱宮、高さが取れない場合は背の低い宮形という選び方も示されています。
入らないお札は宮形の横に並べる
お札が宮形に入らないときは、宮形の横に丁寧に並べて祀ります。
神社本庁は、お札の数が増えて宮形に納められないときや、入らない大きさのお札は、宮形の横に並べておまつりするよう案内しています。
東京都神社庁も、ご祈祷で受けた木のお札は宮形の左右に祀るよう答えています。小さな神棚でも、横に並べる余白を見ておくと困りません。
リビングや洋室ではどこに置く?
置き場所は、方角よりもお参りしやすさから考えると決めやすくなります。
目線より高く、南か東を向く場所
神棚は、清らかで明るく目線より高いところに設け、お札の正面が南か東に向くのが一般的です。
神社本庁がこのように案内しています。棚を付けられない場合は、タンスや本棚の上をきれいにして置く方法もあります。
北海道神社庁は、北向きや西向きだからといって縁起が悪いということはないとしています。間取りの都合がある住まいでも、置ける場所から考えられます。
出入り口の真上や人が通る下は避ける
人の出入りが多い場所の真上や、神棚の下を頻繁に人が通る場所は避けます。
大野湊神社は、出入口の真上はリビングや和室のなかでも人の出入りが多く、落ち着く場所とはいえないとしています。富山県神社庁も、廊下や部屋の出入り口で神棚の下を頻繁に人が通る場所を避けるよう挙げています。
北海道神社庁は、階段の下や、上の階が台所・浴室・手洗い・廊下になる場所も避けるよう案内しています。
テレビやエアコンの近くでも問題ない
テレビや子どもの声がある程度なら、リビングに神棚を置いても問題ないとされています。
富山県神社庁は、神棚の隣にエアコンがあること自体は間違いではないとし、「静かな場所」とは騒音が激しい場所や大音量で音を鳴らす部屋でなければよい程度で、子どもが騒いだりテレビがあったりする程度なら全く問題ないと答えています。
同じページでは、リビング沿いが一番よいとは一概に言えず、現場を見て判断するのが確実だとも述べられています。家の中を見比べて、落ち着いてお参りできる場所を選ぶのが近道です。
おしゃれな神棚でも神具と榊はいる?
小さな神棚では、神具をどこまでそろえるかも迷うところです。
神具はスペースに合わせて選べる
神具は、置ける範囲でそろえれば問題ありません。
産泰神社は、神具は装飾品なので、スペースがない場合は無理して用意しなくてよいとしています。同じ神社は、すべて揃えるのが理想としつつ、「お神札と神饌だけ」「お神札と神饌と榊だけ」でも問題ないと説明しています。
神社本庁も、出来る形でお祀りすることが大切だとしています。器の選び方は、神棚の水入れと器の記事で紹介しています。
北海道神社庁は、神棚に用いる神具の例として、結燈台(ローソク立)や燈籠(電気式)も挙げています。灯明の考え方は、神棚のろうそく・灯籠の記事でまとめています。
榊は神棚の両側に一対で
榊は、神棚の両側に一対で供えるのが基本です。
神社本庁は、神棚の両側には榊をお供えし、毎日水を取り替えてみずみずしさを保つよう案内しています。榊は常に緑を保つ常緑樹で、古くから御神前へのお供えに使われてきました。
小さな神棚でも、左右に榊立てを置くだけで神棚らしい姿に整います。榊立ては背の低い器のほうが小さな宮形に収まりやすく、榊の長さとの釣り合いも取りやすくなります。榊立ての選び方は、榊立ての記事[未公開:001]で紹介しています。
交換は1日・15日に合わせても
榊の交換は、毎月1日と15日に合わせる形でも問題ないとされています。
産泰神社は、榊は神饌と同じく毎日交換するのが理想としつつ、月次祭の1日・15日にあわせて交換しても問題ないとしています。福島稲荷神社も、榊は毎月1日に左右一対飾り、数日おきに水を替えて、枯れたら下げると案内しています。
小さな神棚では榊も短めのものが収まりやすく、高嶺の榊では25cmの長さもご用意しています。
簡易神棚を選ぶとき、誰に相談する?
迷ったときの相談先を知っておくと、選ぶのが楽になります。
氏神様の神社の神職に相談できる
宮形選びは、お札を受ける氏神様の神社の神職に相談できます。
神社本庁は、宮形選びや神棚のお祭りの際は、氏神神社の神職に相談するようすすめています。
東京都神社庁も、一人暮らしに向いた場所をとらない壁掛け式の簡易神棚があるとしたうえで、氏神神社に問い合わせるよう案内しています。
愛知県神社庁は住所から氏神様を探せる検索を用意していますが、表示された神社と氏子区域に差があることもあるため、直接確認するよう添えています。静岡県神社庁も、県内の近くの神社を調べられるページを設けています。
賃貸なら取り付けできるか先に確認
賃貸住宅では、壁に金具を取り付けてよいかを先に確認しておきます。
産泰神社は、賃貸マンションでは金具を壁に取り付けるなどが禁止されている場合もあるため、必ず事前に確認するよう呼びかけています。
壁に穴をあけずに祀る方法は、賃貸の神棚の記事で詳しく紹介しています。
よくある質問
Q. 簡易神棚でも失礼になりませんか?
A. 神社本庁は、宮形の有無などにとらわれすぎてお祀りしないより、出来る形でお祀りすることが大切だとしています。お神札立てや壁掛けの神棚も、神社本庁が紹介している神棚の種類のひとつです。
Q. お札が宮形に入りません。どうすればいいですか?
A. 神社本庁は、宮形に入らない大きさのお札は、宮形の横に丁寧に並べて祀るよう案内しています。東京都神社庁も、木のお札は宮形の左右に祀るとしています。
Q. リビングのテレビの近くでも大丈夫ですか?
A. 富山県神社庁は、テレビがある程度であれば全く問題ないと答えています。大音量で音を鳴らす部屋や、騒音が激しい場所は避ける、という考え方です。
Q. 棚板はどれくらいの大きさが必要ですか?
A. みす平總卸店は、三社宮なら棚板は2尺5寸(約75cm)以上が目安で、一般的な棚板は3尺6寸5分(約110cm)だとしています。福島稲荷神社は、棚の奥行きは宮形に10cmほど足した余裕をみるとよいとしています。
Q. モダン神棚にも榊は供えますか?
A. 神社本庁は、神棚の両側に榊を供えるとしています。置ける範囲で、小さめの榊立てと榊を左右にそろえる形から始められます。
まとめ
小さな神棚やモダン神棚を選ぶときは、次の順で考えると迷いにくくなります。
- 置き型か壁掛け型か、住まいに合う設置の形を決める
- お札が納まる内陣の寸法を確かめる(神宮大麻は縦24.5cmが基本)
- 目線より高く、出入り口の真上を避けた場所を選ぶ
- 神具は置ける範囲でそろえ、榊は左右一対で供える
大きな神棚でなくても、手を合わせる場所があることに変わりはありません。
「高嶺の榊」では、富士山の麓の自社畑で育てた国産榊を、25cm・30cm・36cmの3つの長さでお届けしています。小さな神棚には25cmが収まりやすく、1回のお届けは2束1対なので左右に1束ずつ挿せます。全品送料無料で郵便ポストに配達されます。
参考・出典
- 神社本庁「神棚」 https://www.jinjahoncho.or.jp/omatsuri/kamidana/
- 神社本庁「お神札のまつり方」 https://www.jinjahoncho.or.jp/omatsuri/ofuda/
- 東京都神社庁「お神札・神棚について」 http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/ofuda_kamidana/
- 北海道神社庁「Q01 神棚はどのような所にお祀りしたらいいですか?正しい向きも教えて下さい。」 https://hokkaidojinjacho.jp/ritual-dwelling/qa-01/
- 北海道神社庁「Q04 神棚をまつるにはどのようなものが必要ですか?」 https://hokkaidojinjacho.jp/ritual-dwelling/qa-04/
- 愛知県神社庁「神社ってなんだろう(神道・神社Q&A)」 https://aichi-jinjacho.or.jp/faq04.html
- 愛知県神社庁「氏神様をさがそう」 https://aichi-jinjacho.or.jp/search.html
- 静岡県神社庁「お近くの神社(氏神さま)について」 http://www.shizuoka-jinjacho.or.jp/news_topics/news.php?id=7
- 富山県神社庁「神棚の設置」 https://toyama-jinjacho.sakura.ne.jp/神棚q&a/設置について
- 産泰神社「【決定版】おしゃれな神棚でお神札をお祀りしよう!神棚選びのポイントを紹介」 https://www.santai-jinja.jp/blog/kamidana-osyare/
- 産泰神社「【神職が画像で解説】神棚のお祀りの仕方~お供え物からお参り方法まで~」 https://www.santai-jinja.jp/blog/kamidana-osonaemono/
- 大野湊神社「お神札をまつろう②神棚の選び方や向きは?」 https://oonominato.or.jp/omamori/20151215/
- 福島稲荷神社「自宅や会社に神棚がない方へ」 https://www.fukushima-inari.com/nothing/190.html
- 伊勢神宮「神宮大麻と神宮暦」 https://www.isejingu.or.jp/about/jingutaima/


