神棚の魂入れ(神職による神棚のお祭り)について、神社本庁は初めて神棚を設置するときに神職のお祓いを受けるとよいと案内していますが、必ず行うかどうかは神社によって考え方に幅があります。新しく祀るときは、宮形・お札・神具・榊をそろえ、清めた神棚にお札を納めるところから始められます。
「神職を呼ばないといけないの?」「何をそろえればいいの?」と、はじめての神棚では分からないことが続きます。
私たち「高嶺の榊」は、富士山の麓で神棚に供える榊を育て、お届けしている榊農家です。これから神棚を祀る方に向けて、神社本庁や各地の神社庁の案内をもとに、魂入れの考え方と祀り始めの手順をまとめました。
神棚の魂入れとはどんな祭事?

「魂入れ」という言葉は聞いたことがあっても、実際に何をするのかは分かりにくいかもしれません。
神職が神棚を祓い清め、お札を納めて祈る祭事
魂入れと呼ばれるのは、神職が新しい神棚を祓い清め、宮形にお札を納めて、家と家族の守護を祈る祭事です。
富山県神社庁は、新しく神棚を祀るときのお祭りについて、新しい神棚を祓い清め、宮形に新しいお札をお鎮めし、お供え物をして家と家族をお守りくださるよう祈ると説明しています。
祭事が終わったあとは、毎朝お供えをしてお参りする、ふだんの祀り方に移ります。
呼び方は神社によって違う
「魂入れ」は一般的な呼び方で、神社では「神棚奉鎮祭」「神棚祭」「御神入れ」など、さまざまな名前で呼ばれています。
富山県神社庁は、この場合は「御霊入れ」とは言わず「神棚奉鎮祭」というお祭りになると答えています。栃木県小山市の間々田八幡宮は「神棚祭」、宮城県の鹽竈神社は「御神入れ」という名前で案内しています。
神社に問い合わせるときは、「新しく神棚を祀るので、お祓いをお願いしたい」と伝えると、呼び方が違っても話が通じやすくなります。
神様が宿るのはお札という考え方
神棚に神様が宿るのは、神棚本体ではなくお札だという考え方が一般的です。
仏壇・神具店のはせがわは、魂が宿るのは神棚本体ではなくお札のみという考えが一般的だと説明しています。同じ解説では、設置時に魂入れをした神棚は、処分するときに魂抜きも必要だとしています。
魂入れをするかどうかは、あとで神棚を片付けるときの段取りにも関わります。処分の流れは神棚の処分の記事で紹介しています。
神棚の魂入れは必ず必要?

神職を呼ぶかどうかは、多くの方が最初に迷うところです。神社や神社庁の案内を並べます。
神職のお祓いを「行うとよい」とする神社本庁
神社本庁は、初めて神棚を設置する場合は、神職にお祓いをしてもらい、神棚のお祭りを行うとよいと案内しています。
同じページでは、宮形選びや神棚のお祭りの際は、氏神神社の神職に相談するようすすめています。
「行わなければならない」ではなく「行うとよい」という書き方になっており、ご家庭の判断に委ねられている部分があります。
新しい神棚は必ずお祓いするとする富山県神社庁
富山県神社庁は、新しく神棚を購入して初めて祀るときは、必ず神棚のお祓いをすると案内しています。
神棚を最適な場所に取り付けてからお祓いをするため、設置は大工や購入した業者に依頼するよう書かれています。
このように、お祓いを欠かせないものとする案内もあります。住んでいる地域の習わしは、氏神様の神社にたずねると分かります。
お祓いを「してもらうこともできる」とする神社も
群馬県前橋市の産泰神社は、近くの神社に神棚奉鎮祭をしてもらうこともできる、と紹介しています。
こちらは、選べる方法のひとつとして紹介している書き方です。
神社本庁の「行うとよい」、富山県神社庁の「必ず」、産泰神社の「こともできる」と、案内の強さには幅があります。迷うときは、お札を受ける氏神様の神社に相談して決める方法なら、どの案内とも食い違いません。
新しく神棚を祀るときに必要なものは?

神具店に行くと種類が多く、何から買えばよいか迷うかもしれません。
宮形と棚板、神鏡、神具が基本
北海道神社庁は、宮形と棚板、御神鏡、榊立、灯りの燈籠、米や塩を盛る平瓮、水器、瓶子を、最低限必要なものとして挙げています。
同じページでは、最近はコンパクトな箱宮も数多く出ていると紹介されています。大きな棚を設けにくい住まいでも、選べる形があります。
水器や瓶子の使い方は、水入れ・水玉の記事[未公開:003]で詳しく紹介しています。
宮形の大きさは棚板と天井までの高さで選ぶ
宮形は、棚板の横幅と奥行き、または天井までの高さを測り、それに合うものを選ぶと神社本庁は案内しています。
お供えを置くスペースも考えておくよう、同じページで添えられています。
置き場所の方角や高さは、神棚の方角の記事で紹介しています。
注連縄と紙垂
神棚の前には注連縄(しめなわ)を張り、紙垂(しで)を下げる形が案内されています。
神社本庁は、注連縄はその内側が神聖・清浄であることを示すもので、可能であれば家庭の神棚用にも用意するとより良いとしています。北海道神社庁も、注連縄を張り、紙垂を下げるのを忘れないよう呼びかけています。
注連縄を新しくする時期は、年末年始の神棚の記事[未公開:004]で紹介しています。
榊は左右一対で、常にみずみずしく
榊は神棚の両側に一対で供え、常にみずみずしい状態を保つのが基本です。
北海道神社庁は、榊立には榊・松・オンコなどの常緑樹を用い、常に生き生きとみずみずしくなければならないとしています。神社本庁も、神棚の両側には榊を供え、毎日水を取り替えるよう案内しています。
榊立ての大きさの選び方は、榊立ての記事[未公開:001]で紹介しています。祀り始めの日に合わせて榊を用意しておくと、最初のお参りから左右の榊がそろった形で始められます。
祀り始めのお札はどこで受けてどう並べる?

神棚の中心になるのはお札です。どこで受け、どう納めるかを押さえておきます。
神宮大麻は全国の神社で10月ごろから
伊勢神宮のお札である神宮大麻は、全国の神社で頒布されており、例年10月ごろから用意されています。
神社本庁は、詳しくは氏神様や近くの神社にたずねるよう案内し、毎年暮れまでに新しい神宮大麻を受けるようすすめています。
富山県神社庁も、御神札は地元の神職から受けるよう案内しています。氏神様のお札とあわせて受けておくと、祀り始めの日にまとめて納められます。
三社造りは中央に神宮大麻、右に氏神様、左に崇敬神社
扉が3つある三社造りの神棚では、中央に神宮大麻、向かって右に氏神様、向かって左に崇敬する神社のお札を納めます。
神社本庁は、お札を祀る順位は中央が最上位、次が向かって右、その次が向かって左だとしています。
崇敬神社とは、氏神様とは別に、個人的に信仰している神社のことです。旅先や縁のある神社で受けたお札を納める場所になります。
一社造りは手前から神宮大麻、氏神様、崇敬神社
扉が1つの一社造りでは、神宮大麻を一番手前にし、その後ろに氏神様、さらに後ろに崇敬する神社のお札を重ねて納めます。
神社本庁は、そのほかに神社で受けたお札は、さらに後ろに重ねるとよいとしています。
並べ方の図や神具の配置は、神棚の飾り方の記事で紹介しています。
神棚の祀り始めはどんな手順で進める?

必要なものがそろったら、いよいよ祀り始めです。
置き場所を掃除して清め、神棚を取り付ける
まずは神棚を置く場所をきれいに掃除し、神棚を取り付けます。
東京都神社庁は、お札は掃除を済ませて清浄になった状態の宮形に納めると案内しています。
神職にお祓いを頼む場合は、富山県神社庁の案内のとおり、取り付けを済ませてから日程を相談すると段取りが進めやすくなります。
神職に頼むなら氏神様の神社に相談
神職にお祓いを頼む場合は、お札を受ける氏神様の神社に相談するのが近道です。
神社本庁も、神棚のお祭りの際は氏神神社の神職に相談するようすすめています。
当日に用意するお供え物を家庭でそろえるか、神社に準備してもらえるかは、神社ごとに異なります。申し込むときにあわせて確かめておくと、当日あわてずに済みます。
自分で祀るならお札を納めて手を合わせる
神職を呼ばずに祀り始める場合は、清めた宮形にお札を納め、お供えをして手を合わせるところから始められます。
伊勢神宮は、初めての方は、日々の暮らしに感謝の気持ちを込めて、お札に手を合わせることから始めるよう案内しています。作法は二拝二拍手一拝です。
毎朝のお供えは米・塩・水が基本です。お供えの内容は神棚のお供え物の記事で紹介しています。
神棚の魂入れの日取りや費用は?

神職に頼む場合も自分で祀る場合も、日取りと費用は気になるところです。
日取りは気にしすぎなくてよい
祀り始めの日取りについて、神社庁の案内では、特に気にする必要はないという考え方が示されています。
富山県神社庁は、神棚を移す日について特に気にする必要はなく、気になる場合は暦の不成就日を避けるとよいと答えています。東京都神社庁も、大安や仏滅などの六曜は俗信で、実際の吉凶とはあまり関係がないとしています。
家族がそろう日や、神職の都合がつく日を優先して決める考え方もあります。
初穂料は神社ごとに異なる
神職に神棚のお祓いを頼むときのお礼(初穂料)は、神社によって異なります。
例として、新潟市の白山神社は、神棚のおはらいを含む出張祭の初穂料を2万円以上、お供え物や祭具を神社で準備する場合は3万円からとしています。鹽竈神社は、御神入れを含む出張祭典を3万円からとしています。
富山県神社庁は、これは「料金」ではなく「初穂料」や「玉串料」と呼ぶもので、金額は直接神社に確認するようすすめています。事情を説明すれば相談にのってくれる神社が多いとも添えています。
神棚を新しくするときはどうする?

古い神棚から新しい神棚に替える場合は、順番に気をつけます。
お札はすぐ新しい神棚へ、古い神棚の処分はそのあと
古い神棚から新しい神棚に買い替えるときは、お札を先に新しい神棚へ移し、古い神棚の処分はそのあとにします。
富山県神社庁は、入っていたお札は素早く新しい神棚に移し、古い神棚の処分はその後にするよう案内しています。
古い神棚の片付け方は、神棚の処分の記事で紹介しています。
交換前と交換後の2回のお祭り
神職に頼む場合、交換前と交換後の2回のお祭りを行う神社もあります。
富山県神社庁によると、交換前のお祭りでは古い神棚の前で交換の報告と感謝を伝え、そのあと新しい神棚を設けてお祭りをします。
栃木県の間々田八幡宮のように、買い替えの場合は古い神棚と新しい神棚の両方を社務所に持参するよう案内している神社もあります。
よくある質問
Q. 魂入れをしないと神棚は祀れませんか?
A. 神社本庁は、神職にお祓いをしてもらうと「よい」と案内しており、必ず行うかどうかは神社によって考え方が分かれます。迷うときは、お札を受ける氏神様の神社に相談すると確実です。
Q. 神宮大麻はいつ受けられますか?
A. 神社本庁によると、神宮大麻は全国の神社で頒布され、例年10月ごろから用意されています。毎年暮れまでに新しいものを受けるようすすめられています。
Q. 神棚を祀り始めるのに良い日はありますか?
A. 東京都神社庁は六曜を俗信としており、富山県神社庁も特に気にする必要はないとしています。気になる場合は、暦の不成就日を避ける方法があります。
Q. 神棚がなくてもお札を祀れますか?
A. 神社本庁は、神棚を設けられない場合はお札を祀るだけでもよいとしています。詳しくは、神棚をやめたいときの記事[未公開:002]で紹介しています。
まとめ
新しく神棚を祀るときは、次の点を押さえると迷いにくくなります。
- 魂入れは、神職が神棚を祓い清めてお札を納める祭事。神社本庁は「行うとよい」、富山県神社庁は「必ず」と、案内の強さに幅がある
- そろえるものは宮形と棚板、神鏡、神具、注連縄、そして左右一対の榊
- お札は三社造りなら中央に神宮大麻、向かって右に氏神様、左に崇敬神社
- 日取りは気にしすぎず、初穂料は神社に確認する
祀り始めの準備が整えば、あとは毎朝の小さなお参りを重ねていくだけです。
「高嶺の榊」では、富士山の麓の自社畑で育てた国産榊を、25cm・30cm・36cmの3つの長さでお届けしています。1回のお届けは2束1対なので、左右の榊立てに1束ずつ挿せます。月2回コースの定期便は毎月1日と15日のお供えに合わせて届き、全品送料無料で郵便ポストに配達されます。
- 榊立ての選び方の記事[未公開:001]
- 榊の定期便の選び方(サイズ・頻度・申し込みの流れ)
- 高嶺の榊 通販サイト
参考・出典
- 神社本庁「神棚」 https://www.jinjahoncho.or.jp/omatsuri/kamidana/
- 神社本庁「お神札のまつり方」 https://www.jinjahoncho.or.jp/omatsuri/ofuda/
- 神社本庁「伊勢の神宮のお神札 神宮大麻(じんぐうたいま)をおまつりしましょう」 https://www.jinjahoncho.or.jp/jingutaima/
- 伊勢神宮「お神札(神宮大麻)の祀り方」 https://www.isejingu.or.jp/about/jingutaima/ofuda_howto.html
- 東京都神社庁「家庭祭祀(5)」 http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/qa/kateisaishi/05/
- 東京都神社庁「暦(1)」 http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/qa/koyomi/01/
- 富山県神社庁「神棚の新調」 https://toyama-jinjacho.sakura.ne.jp/住まいの祭り/神棚の新調
- 富山県神社庁「神棚の交換」 https://toyama-jinjacho.sakura.ne.jp/住まいの祭り/神棚の交換
- 富山県神社庁「神棚の設置」 https://toyama-jinjacho.sakura.ne.jp/神棚q&a/設置について
- 富山県神社庁「神棚の購入」 https://toyama-jinjacho.sakura.ne.jp/神棚q&a/購入について
- 富山県神社庁「その他」 https://toyama-jinjacho.sakura.ne.jp/神棚q&a/その他
- 北海道神社庁「Q04 神棚をまつるにはどのようなものが必要ですか?」 https://hokkaidojinjacho.jp/ritual-dwelling/qa-04/
- 産泰神社「【神職が画像で解説】神棚のお祀りの仕方~お供え物からお参り方法まで~」 https://www.santai-jinja.jp/blog/kamidana-osonaemono/
- 間々田八幡宮「神職が出向いてのご祈祷」 https://www.mamada-hachiman.jp/gaisai
- 新潟総鎮守 白山神社「出張祭|ご祈祷・おはらい」 https://www.niigatahakusanjinja.or.jp/prayer/outside/
- 鹽竈神社「出張祭典」 http://www.shiogamajinja.jp/supplication/saiten.html



